Microsoft 365 Copilotはいらない?無料版との違い・料金と「Googleより高い」への答え方ARTICLE
ARTICLEM365 Copilot導入
※ Microsoft 365 Copilot は、2026年8月から「Microsoft Copilot」に名称が変わりました(Copilot Chat は「Microsoft Copilot Chat」)。移行期間中は旧名称も併用されているため、本記事では広く使われている「Microsoft 365 Copilot」の表記で統一しています(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」)。
「Copilotって、本当に要るんですか。無料で使えるAIもあるのに」 「Google Workspace のほうが安いと聞きました。Microsoft 365 は高くないですか」
Microsoft 365 Copilot の導入をご相談いただくと、経営会議でこうした質問が出て検討が止まった、というお話をよく伺います。担当者としては導入したいものの、「いらない」「高い」という指摘にうまく答えられず、判断が先送りになっている状態です。
こうした質問に「便利だから」「他社も入れているから」と答えても、経営は納得しません。必要なのは、どの人に要り、どの人には要らないのか、そして何と比べて高いのかを分けて説明することです。
本記事は、非IT企業のMicrosoft 365 Copilot導入ロードマップシリーズの番外編です。第1回で紹介した「二層構成」の考え方をもとに、「いらない?」と「Googleより高い?」への答え方と、経営に説明するための試算モデルを整理します。
この記事の要点
- Microsoft 365 Copilot は全員に必要なものではありません。追加費用なしの Copilot Chat を全社の土台にし、社内データを横断して使う人にだけ有償席を配る「二層構成」にすると、「いらない」と「要る」を両立できます
- 「Googleより高い」は、1ユーザーあたりの単価だけを比べた結論です。Microsoft 365 Business Premium に含まれる ID管理・端末管理・脅威対策・情報保護まで含めて、比較の土俵をそろえて判断します
- 経営への説明は「月額ライセンス費 ÷ 1時間あたりの人件費」で損益分岐時間を示し、パイロットで実測してから広げる段階投資の形にすると通りやすくなります
※本記事の価格は、2026年9月時点で Microsoft と Google の日本の公式サイトに表示されている価格(税抜)です。価格やキャンペーンは変わることがあるため、契約前に必ず公式サイトでご確認ください。
「Microsoft 365 Copilotはいらない」と言われる4つの理由
まず、「いらない」という声がどこから来ているのかを分解します。多くの場合、次の4つのどれか、または組み合わせです。
- 無料のCopilot Chatで足りている ―― Microsoft 365 を契約していれば、追加費用なしで使えるAIチャットがあります。文章の下書きや要約程度なら、これで十分という判断です
- ChatGPTなど別のAIで足りている ―― すでに別の生成AIサービスを契約している、あるいは個人で使っている社員がいるため、追加投資の必要性を感じにくい状態です
- 使いこなせる気がしない ―― 以前に何らかのAIツールを入れたものの定着しなかった経験があり、「また使われないのでは」と懸念している状態です
- 価格が高い ―― 1ユーザーあたりの月額が、既存の Microsoft 365 の料金と同じくらいかそれ以上になるため、「全員分は払えない」と感じる状態です
このうち1と2は「何ができるか」の誤解、3は「定着の設計」の問題、4は「誰に配るか・何と比べるか」の問題です。それぞれ答え方が違うため、分けて考えます。
無料のCopilot Chatと有償のMicrosoft 365 Copilotの違い
「Microsoft 365 Copilot の無料版はあるのか」という質問への答えは、「Copilot Chat がそれに近いが、できることの範囲が違う」です。
Microsoft の公式ドキュメントによると、対象の Microsoft 365 サブスクリプションを持つ組織では、Microsoft 365 Copilot Chat が追加費用なしで使えます。一方、有償の Microsoft 365 Copilot ライセンスを付与すると、Microsoft Graph や Work IQ、セマンティックインデックスを通じて、メール・会議・予定表・チャット・ドキュメントなど、本人がアクセス権を持つ社内データ全体を横断して参照できるようになります(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot Chatの概要」、Microsoft Copilot のライセンス オプション)。
| 観点 | Copilot Chat(追加費用なし) | Microsoft 365 Copilot(有償) |
|---|---|---|
| 費用 | 対象の Microsoft 365 サブスクリプションに含まれる | 対象プランへのアドオンとして1ユーザーごとに購入 |
| エンタープライズデータ保護 | あり | あり |
| Web情報をもとにした回答・文章作成 | できる | できる |
| ファイルをアップロードしての分析 | できる | できる |
| 社内データの参照 | 貼り付けやアップロードしたもの、対応するアプリ内の文脈(Outlook では受信トレイや予定表など一部)に限られる | 本人がアクセスできるメール・会議・チャット・ファイルなどを横断して参照 |
| Word・Excel・PowerPoint 内での利用 | ライセンスとテナント構成によって異なる(標準アクセス) | アプリ内の Copilot を利用でき、機能への優先アクセスがある |
| エージェント | 利用に制限あり(従量課金のものもある) | 高度なエージェント機能を利用できる |
ここで大切なのは、Copilot Chat もエンタープライズデータ保護(EDP)の対象だという点です。入力内容は自社の Microsoft 365 の契約条件の下で扱われ、基盤モデルの学習には使われません。「無料のAIは危ないから使わせない」ではなく、Copilot Chat を全社の安全なAIの土台として解禁できるということです(EDPの詳細は特別編:その社内規則、Microsoft 365 Copilotを禁止していますか?で扱っています)。
つまり、「無料版で足りている」という意見は、社内データを横断して使う必要がない人については正しいのです。逆に、「先週の会議とその後のメールのやりとりを踏まえて、顧客への回答案をまとめて」といった使い方をしたい人にとっては、Copilot Chat では足りません。
二層構成で「いらない」と「要る」を両立する
第1回で紹介した二層構成は、この違いをそのまま投資設計に落としたものです。
- 第1層:全社に Copilot Chat を解禁する ―― 追加費用なしで、データ保護つきの生成AIを全員が使える状態にします。個人のスマートフォンで無防備なAIを使う「シャドーAI」の対策にもなります
- 第2層:有償の Microsoft 365 Copilot は、効果の出る人にだけ配る ―― 会議・メール・資料作成が多く、社内データを横断して使う人から始め、パイロットで効果を測ってから広げます
この形にすると、経営への答えは「全員には要らない。でも、この人たちには要る」になります。「いらない」という指摘は半分正しいと認めたうえで、投資の範囲を絞って提案できるのが二層構成の強みです。
Microsoft 365 Copilot の料金(2026年9月時点・税抜)
判断の前提として、料金を整理します。以下は2026年9月時点で Microsoft の日本の公式サイトに表示されている、1ユーザーあたりの月額相当・年払いの価格です。いずれも「価格には消費税は含まれていません」と表記されています。
Copilot のライセンス(アドオン)
| ライセンス | 月額相当(年払い・税抜) | 主な条件 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Copilot Business | 3,148円 | 対象の一般法人向けプラン(Business Basic / Standard / Premium など)へのアドオン。最大300ユーザー |
| Microsoft 365 Copilot | 4,497円 | E3・E5 などの対象プランへのアドオン |
Microsoft 365 Copilot Business には、2026年7月1日から12月31日までの割引キャンペーンとして、初年度のみ月額2,698円相当(年払い・税抜)で提供される価格も表示されています(対象のビジネスプランを利用中の既存顧客が対象)。
また、一般法人向けには Copilot を組み込んだセットプランも表示されています。
| セットプラン | 月額相当(年払い・税抜) |
|---|---|
| Microsoft 365 Business Standard と Microsoft 365 Copilot Business | 3,523円 |
| Microsoft 365 Business Premium と Microsoft 365 Copilot Business | 4,797円 |
ベースとなる Microsoft 365 のプラン
| プラン | 月額相当(年払い・税抜) | 対象 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Business Basic | 1,049円 | 最大300ユーザー |
| Microsoft 365 Business Standard | 2,098円 | 最大300ユーザー |
| Microsoft 365 Business Premium | 3,298円 | 最大300ユーザー |
| Microsoft 365 E3(Teams を含む) | 5,847円 | ユーザー数の上限なし |
| Microsoft 365 E5(Teams を含む) | 8,995円 | ユーザー数の上限なし |
出典:一般法人向け Microsoft 365 のプランと価格、ビジネス向け Microsoft 365 Copilot、Microsoft 365 Enterprise のプランと価格(いずれも2026年9月時点)
Microsoft の公式サイトには、2026年7月1日に実施された Microsoft 365 商用スイートのパッケージと価格の変更に関する案内も掲載されています。社内の過去の検討資料や、以前に書かれたWeb記事の価格は古い可能性があるため、稟議に載せる価格は必ず公式サイトで最新のものを確認してください。また、実際の契約価格は、購入経路(Microsoft から直接か、販売パートナー経由か)や契約形態によって異なる場合があります。
本当に「いらない」ケースと「要る」ケース
料金を踏まえて、有償の Microsoft 365 Copilot が「いらない」ケースと「要る」ケースを整理します。
今は「いらない」(有償席を急がなくてよい)ケース
- Microsoft 365 をメールと Office 程度にしか使っていない ―― Teams の会議や SharePoint・OneDrive にデータがなければ、Copilot が横断して参照できるものがほとんどありません
- ファイルが Microsoft 365 の外にある ―― ファイルサーバーや他社のクラウドストレージが中心の場合、Copilot の強みである社内データの参照が生きません(置き場所の判断は第2回前編で扱っています)
- 権限やルールが整っていない ―― 共有設定が放置されたまま有償席を配ると、見えてはいけない資料が回答に出てくるリスクがあります。先に整備が必要です
- 社内データを横断する業務が少ない ―― 現場作業が中心で、メールや資料作成に使う時間が短い人には、Copilot Chat で十分なことが多いです
「要る」(有償席を検討する価値がある)ケース
- 会議・メール・資料作成に多くの時間を使っている ―― 管理職、営業、企画、管理部門など、情報を集めてまとめる仕事が多い人
- 情報が Microsoft 365 に集まっている ―― Teams の会議、Outlook のメール、SharePoint のファイルが日常的に使われている
- 「探す」時間が長い ―― 過去の経緯や関連資料を探すのに、毎週まとまった時間を使っている
- 効果を測る準備がある ―― 導入前の作業時間を把握し、パイロットで効果を比べられる
ポイントは、同じ会社の中でも「いらない人」と「要る人」がいるということです。「会社として要るか、いらないか」の二択で議論すると、必ずどちらかの意見が正しくなくなります。
「M365はGoogleより高い」への答え方
次に、「Google Workspace のほうが安い」という指摘への答え方です。
まず単価を並べる
Google Workspace の日本の公式サイトに表示されている価格(2026年9月時点)は次のとおりです。Google のヘルプによると、Google のウェブサイトに表示されている料金には税金が含まれておらず、日本では10%の消費税が適用されます(出典:Google Workspace の料金、地域で適用される税金)。
| Google Workspace | 年間プラン(1ユーザー・月額) | フレキシブルプラン(1ユーザー・月額) |
|---|---|---|
| Business Starter | 800円 | 950円 |
| Business Standard | 1,600円 | 1,900円 |
| Business Plus | 2,500円 | 3,000円 |
| Enterprise | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
※新規顧客向けに期間限定の割引価格が表示される場合があります。上記は割引前の価格です。
Microsoft 365 の一般法人向けプランと並べると、たしかに表示価格は Microsoft 365 のほうが高くなります。
| 価格帯 | Microsoft 365(年払い・税抜) | Google Workspace(年間プラン) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 入門 | Business Basic 1,049円 | Business Starter 800円 | 249円 |
| 標準 | Business Standard 2,098円 | Business Standard 1,600円 | 498円 |
| 上位 | Business Premium 3,298円 | Business Plus 2,500円 | 798円 |
さらに生成AIについては、Google Workspace は Business Standard 以上のプランで Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・Meet などの中で Gemini を使えると公式の料金ページに記載されています。一方、Microsoft 365 でアプリ内の Copilot を本格的に使うには、アドオンの Copilot ライセンスが必要です。「アプリの中でAIを使う」ことだけを比べれば、Google Workspace のほうが安い、というのは事実として認めてよい点です。
比較の土俵を「同梱物」にそろえる
そのうえで伝えるべきなのは、1ユーザーあたりの単価には、プランに含まれるものの違いが反映されていないということです。特に Microsoft 365 Business Premium には、メールやOfficeアプリだけでなく、情報システム部門が本来は別々に揃える必要があるセキュリティ・管理機能がまとめて含まれています。
Microsoft の比較表によると、Business Premium には次の機能が含まれます(Business Standard と Basic には含まれないか、限定的です)。
| 領域 | Business Premium に含まれるもの | 何のための機能か |
|---|---|---|
| ID・アクセス管理 | Microsoft Entra ID による高度な ID およびアクセス管理 | 社外からのアクセスや不審なサインインを条件に応じて制御する |
| 端末管理 | Intune プラン 1 | 会社のPCやスマートフォンの設定を一元管理し、紛失時に対応する |
| 端末の脅威対策 | Microsoft Defender for Business | ランサムウェアやマルウェアから端末を守る |
| メールの脅威対策 | Microsoft Defender for Office 365 プラン 1 | フィッシングメールや悪意のある添付ファイル・URLを防ぐ |
| 情報保護 | Microsoft Purview Information Protection プラン 1、データ損失防止(メールとファイル) | 機密情報を検出・分類し、外部への持ち出しを制御する |
出典:一般法人向け Microsoft 365 のプランと価格(プランの比較表)(2026年9月時点)
Google Workspace でも、Business Plus では Vault(データの保持・検索)や高度なエンドポイント管理、Enterprise ではデータ損失防止(DLP)やコンテキストアウェアアクセスが提供されると公式の料金ページに記載されています。どちらが優れているかは、会社が何を守りたいかによって変わります。
大切なのは、比較表の行をそろえてから価格を比べることです。たとえば次のような問いを立てると、比較の土俵がそろいます。
- 社員のPCの管理とウイルス対策は、今どの製品に、いくら払っているか
- 退職者のアカウント停止や、社外からのアクセス制限はどう管理しているか
- 機密情報の持ち出し対策は、何で実施しているか
- 取引先から受け取る Excel・Word のファイルや、社内の Excel マクロはどう扱うか
- 既存の Microsoft 365 環境から移行する場合、移行作業や社員の再教育にどれだけかかるか
「Microsoft 365 は高い」という結論の多くは、これらの費用が別の予算に計上されていて、比較表に載っていないことから生まれます。
Copilot の費用は「AIの価格」だけで比べない
Copilot のアドオン費用についても同じ考え方ができます。Microsoft 365 Copilot の価値は、AIの文章生成能力そのものより、すでに Microsoft 365 に蓄積されたメール・会議・ファイルを、既存の権限管理のまま参照できるところにあります。
逆に言えば、データが Microsoft 365 にほとんどない会社にとっては、その価値は小さくなります。「Google のほうが安い」という指摘が当てはまるのは、これから業務基盤そのものを選ぶ会社や、データの大半がすでに Google Workspace にある会社です。すでに Microsoft 365 を業務の中心で使っている会社が、AIのためだけに基盤を移すと、移行費用と定着までの時間が単価の差を上回ることが少なくありません。
経営への説明の型
ここまでの整理を、経営会議で使える説明の型にまとめます。次の5つの順番で話すと、「いらない」「高い」という反論に先回りできます。
| 順番 | 伝えること | 例 |
|---|---|---|
| 1. 目的 | 何のために使うのか | 「管理職と営業の資料作成・情報収集の時間を減らし、顧客対応に回す」 |
| 2. 範囲 | 誰に配り、誰には配らないのか | 「全社は追加費用なしの Copilot Chat。有償席はまず○部門の○名だけ」 |
| 3. 比較の土俵 | 何と比べて判断するのか | 「単価ではなく、同梱されるセキュリティ機能と移行費用を含めて比べた」 |
| 4. 損益分岐 | 何時間減れば元が取れるのか | 「1人あたり月○時間の削減で回収できる。パイロットで実測する」 |
| 5. 撤退・拡大の条件 | どうなったら止め、どうなったら広げるのか | 「3か月後に利用率と削減時間を確認し、基準未満の席は回収・再配分する」 |
特に5の「撤退条件」を先に示すことが重要です。経営が投資をためらうのは、金額の大きさよりも「効果が出なかったときに止められるか分からない」ことへの不安が大きいからです。やめる基準を決めてから始める提案は、承認されやすくなります。
損益分岐の試算モデル
経営への説明の中心になる、損益分岐の試算方法を示します。
基本の式:1人あたりの損益分岐時間
最もシンプルな式は次のとおりです。
1人あたりの損益分岐時間(月) = 1人あたりの月額ライセンス費 ÷ 1時間あたりの人件費
1時間あたりの人件費は、給与だけでなく、賞与・法定福利費などを含めた年間の人件費を、年間の労働時間で割って求めます。
1時間あたりの人件費 = 1人あたりの年間人件費(給与・賞与・法定福利費など) ÷ 年間の労働時間
計算例1:1人あたりの損益分岐時間
以下の数値は、計算方法を示すための仮定です。実際の試算では、自社の人件費や契約価格に置き換えてください。
- ライセンス:Microsoft 365 Copilot Business 月額3,148円(2026年9月時点の公式表示価格・税抜)
- 1人あたりの年間人件費:576万円と仮定
- 年間の労働時間:1,920時間(月160時間×12か月)と仮定
1時間あたりの人件費は 5,760,000円 ÷ 1,920時間 = 3,000円 です。
1人あたりの損益分岐時間は 3,148円 ÷ 3,000円 ≒ 月1.05時間 です。つまり、この仮定では、Copilot を使う人が1か月に約1時間の作業時間を削減できれば、ライセンス費を回収できる計算になります。
実務の式:使われない席と導入費用を含める
ただし、この計算は「配った全員が使いこなす」前提です。実際には、利用が定着しない席や、研修・ルール整備などの導入費用が発生します。経営に示すときは、次の式で保守的に試算します。
利用者1人あたりの必要削減時間(月) =(ライセンス費 × 配布席数 + 導入・運用費の月割)÷ 1時間あたりの人件費 ÷(配布席数 × 利用率)
計算例2:20席でパイロットする場合
こちらも、計算方法を示すための仮定の数値です。
| 項目 | 仮定 | 金額・時間 |
|---|---|---|
| ライセンス費 | Copilot Business 3,148円 × 20席 | 月62,960円 |
| 導入・運用費の月割 | 研修やルール整備などの費用を、月あたり40,000円と仮定 | 月40,000円 |
| 月額コストの合計 | 月102,960円 | |
| 1時間あたりの人件費 | 計算例1と同じく3,000円と仮定 | |
| 回収に必要な削減時間(全体) | 102,960円 ÷ 3,000円 | 月約34.3時間 |
| 利用率 | 20席のうち75%(15人)が継続的に使うと仮定 | 15人 |
| 利用者1人あたりの必要削減時間 | 34.3時間 ÷ 15人 | 月約2.3時間 |
計算例1の「月1.05時間」に比べると、利用率と導入費用を含めた実務の試算では、必要な削減時間が2倍以上になります。この数字を最初から示しておくと、「思ったより効果が出なかった」という事態を避けやすくなります。
試算を「実測」に置き換える
試算はあくまで仮説です。パイロットでは、次のように実測して試算を置き換えます。
- 導入前に測る:対象者が議事録作成、メール処理、資料作成、情報検索にかけている時間を、1〜2週間ほど記録する
- 利用状況を確認する:Microsoft 365 管理センターの使用状況レポートで、Copilot の利用状況を確認する(参考:Microsoft Copilot の使用状況レポート)
- 導入後に同じ方法で測る:同じ業務にかかる時間を記録し、差を比べる
- 席を見直す:使われていない席は回収し、効果が出ている部門や人に再配分する
このサイクルを回すと、「月約2.3時間」という試算が、「実際には1人あたり月○時間削減できた」という実績に変わります。経営への次の提案は、その実績をもとに行えます。
二層構成で段階投資にする進め方
ここまでの内容を、実際の進め方にまとめます。
- Copilot Chat を全社に解禁する:利用ルールを定め、データ保護つきのAIを全員が使える状態にします(ルールづくりは特別編を参照)
- 有償席の候補者を選ぶ:会議・メール・資料作成が多く、情報が Microsoft 365 に集まっている人から選びます
- 導入前の作業時間を測る:パイロット対象者の業務時間を記録します
- パイロットを実施する:少数の席で2〜3か月ほど試し、利用率と削減時間を確認します
- 撤退・拡大を判断する:事前に決めた基準で、席の回収・再配分・追加購入を判断します
このとき、権限の整備(共有設定の見直しなど)を後回しにしないでください。有償の Microsoft 365 Copilot は、本人がアクセスできる社内データを横断して参照するため、共有設定が甘いまま配ると、見えてはいけない資料が回答に出てくるおそれがあります。全体の順番は第1回のロードマップで整理しています。
K.S.Rogers のMicrosoft 365 Copilot導入支援
K.S.Rogers では、Microsoft 365 の運用設計から、Copilot の導入判断、AIの利用ルールづくり、パイロットと効果測定、全社展開までを伴走支援しています。
「Copilot を入れるべきか、まだ判断がつかない」「経営会議で『いらない』『高い』と言われて止まっている」という段階からご相談いただけます。自社の現在の使い方とデータの置き場所を確認したうえで、有償席を配るべき範囲と、損益分岐の試算を一緒に整理します。
まとめ
- Microsoft 365 Copilot は全員に必要なものではありません。追加費用なしの Copilot Chat を全社の土台にし、社内データを横断して使う人にだけ有償席を配る二層構成にします
- 2026年9月時点の公式表示価格(年払い・税抜)は、Microsoft 365 Copilot Business が月額3,148円、Microsoft 365 Copilot が月額4,497円です。稟議の前に必ず最新の価格を確認します
- 「Googleより高い」には、単価ではなく、ID管理・端末管理・脅威対策・情報保護などの同梱物と移行費用まで含めて比較の土俵をそろえて答えます
- 経営への説明は、目的・範囲・比較の土俵・損益分岐・撤退条件の5点で組み立て、パイロットの実測で試算を置き換えます
Copilot の導入判断や、経営への説明資料づくりでお悩みの際は、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.Microsoft 365 Copilotは本当にいらないのでしょうか?
A.全社員に必要なわけではありません。社内のメール・会議・ファイルを横断して調べる、資料やメールを大量に作る、といった業務が多い人には効果が出やすく、そうでない人は追加費用なしのCopilot Chatで足りることが多いです。全社に配るか配らないかではなく、必要な人にだけ有償席を配る二層構成で考えるのがおすすめです。
Q.Microsoft 365 Copilotに無料版はありますか?
A.対象のMicrosoft 365法人向けサブスクリプションを契約していれば、Microsoft 365 Copilot Chatを追加費用なしで使えます。エンタープライズデータ保護が適用される一方、社内のメールやファイル全体を横断して参照する機能は、有償のMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要です。
Q.Microsoft 365 Copilotの法人向け料金はいくらですか?
A.2026年9月時点のMicrosoft公式サイトの表示では、300ユーザー以下向けのMicrosoft 365 Copilot Businessが1ユーザーあたり月額3,148円相当(年払い・税抜)、Microsoft 365 Copilotが月額4,497円相当(年払い・税抜)です。いずれも対象のMicrosoft 365プランへのアドオンで、キャンペーン価格が設定される場合もあるため、契約前に公式サイトで確認してください。
Q.Microsoft 365はGoogle Workspaceより高いのですか?
A.1ユーザーあたりの表示価格だけを比べると、同じ価格帯のプランではMicrosoft 365のほうが高くなる場合があります。ただしMicrosoft 365 Business Premiumには、ID管理(Microsoft Entra ID)、端末管理(Intune)、端末の脅威対策(Defender for Business)、情報保護(Purview)などが含まれるため、同等の機能を別に揃える費用まで含めて比べる必要があります。
Q.Microsoft 365 Copilotは何時間削減できれば元が取れますか?
A.「月額ライセンス費 ÷ 1時間あたりの人件費」で1人あたりの損益分岐時間が出せます。たとえば月額3,148円のライセンスで、人件費を時間あたり3,000円と仮定すると、1人あたり月約1.05時間です。実際には利用されない席や導入・教育の費用も含めて試算します。